■シナリオ関数講義ノート(出典:根来文生博士)

第2章 アルゴリズムの仮説

 

私の脳裏には従来プログラムの分析の進展にからみ、プログラムは要件を見つけて、その対応の利便性のために作成されるという以前に、つまり、プログラムの存在以前に、プログラムを成立させる普遍的な何(something)かを探る必然性が生じていた。つまり、形而上学的世界に踏み込まなければ、プログラムの存在を公理的に捉えることが出来ないという状況に追い込まれていたのである。

 

プログラム問題は経験的に解法すれば済むという様な性質の問題ではなく、公理的に解法しない限り、解法したことにはならないことが従来プログラムの分析の進展とともに次第に明らかになっていたからである。換言すれば、プログラムを形而上学的存在として公理的に捉えることから始めなければプログラム問題の山は越えられないという事である。

 

われわれは要件の成立由来を律していると思われる意図、われわれに反復性を成立させると思われる記憶、そして、われわれの動性を律すると考えられる認識に統治されているのだが、われわれはそのどれにも意味的な普遍性を成立させることが出来ない。このことはだれもが日常的に経験できることである。付言すれば、われわれは、本来的に混沌でありながら、反面、よほどのひとでなければ、それを回避しなければ時を経ることが出来ない生物である。故に、たかがプログラムでも、われわれがプログラムを作り、且つプログラムに内在する問題を解法する立場にいる限り、公理が必要である。その為には、われわれは何者かを考えざるを得ない立場にいるのである。この為に、本研究では存在の為の形而上学的模型が論考された。この論考の内容はここでは省くが、既に論文化され公開されているので、興味のある人は見ていただきたい。

 

(Lyee‘s Hypothetical World by Fumio Negoro: Page3 -22 of New Trends in Software, Methodology, Tool and Techniques ,84 of IOS Press)

 

 

 

2.1 存在の仮説

 

本研究では存在は「実在」と「非在」が想定される。実在とはわれわれが認識できる存在であり、非在はそうではない存在である。非在は実在を成立させる基盤となる存在と設定される。存在は構造体でその構造は、実在も非在も同型となる。

 

本研究で仮説された「論理原子」を要素として成立する。論理原子は輪郭で成立するスカラ量で、その内部は仏教的な無の概念に通じる。

 

このスカラ量に同じものはない。故にこれを論理原子の種別とするなら、論理原子数は無限数の最大数となる。存在は実体と属性の対で成立し、実体は1個の論理原子、属性は複数個の論理原子の関係である。非在の場合は、属性の論理原子数が偶数で、その実体は属性に属す最大の輪郭(最大の無)の論理原子が選ばれる。実在の場合は、属性の論理原子数が奇数で、その実体は属性に属す最小の輪郭(最小の無)よりも小さな輪郭の論理原子で成立する。論理原子は存在ではない。シナリオ関数では論理原子の模型となる主語が用いられる。この主語は名詞の内容を指し、言語学的な主語の定義とは異なる。

 

 

 

2.2 生命作用を律するアルゴリズムの作用

 

ここでいうアルゴリズムとは論理原子の脈絡である。換言すれば、アルゴリズムは生命作用である。われわれはこのアルゴリズムで治要されている。ここでは、この観点から本章冒頭で示す論文を基に、生命作用を治要する6種のアルゴリズムの要点を以下に記す。

 

①「非在」を成立させるアルゴリズムの成立は確率的である。

 

②非在が成立すれば、非在をもみ合わせる過程を成立させるアルゴリズム2が成立する。本章冒頭で示す論文を参照。

 

③アルゴリズム2はアルゴリズムを成立させる。アルゴリズム3は「自分」を成立させる。自分とは計数不可能な非在を計数可能にする作用である。そして、自分の成立が生命作用の始まりを意味する。

 

④アルゴリズム3はアルゴリズムを成立させる。

アルゴリズム4はアルゴリズム3の効果(自分の効果)で自分に属す全非在の全てを実在の系譜に変える。この実在の系譜が自分の「意図」である。この作用には同期性が成立しなければならない。

 

⑤アルゴリズム4が成立するとアルゴリズムが成立する。アルゴリズム5は実在の系譜に「時制」を帯同させて「記憶」を成立させる。時制とは系譜上の実在の様相を今、過去、未来として律する事である。

 

⑥アルゴリズム5が成立するとアルゴリズム6が成立する。アルゴリズム6は自分に「認識」を成立させる。認識とは自分に行動を発生させることである。行動とは生命体の所作(含む、脳作)の事である。

 

シナリオ関数の主語ベクトルが例えば、L4、L2、L3、W4、R2と記されるが、この4は今の所作、例えば算術文、出力文を、この2は過去の所作、例えば定値文、入力文を、この3は未来の所作、例えば条件文の成立をさす。

 

アルゴリズム6の生命作用の時間速度とそれ以前のアルゴリズムの時間速度は異次元である。

 

⑦LYEE空間を3次元空間とする。

 

⑧LYEE空間の為に3種の座標軸を設定する。

 

⑨主語系譜を成立させるアルゴリズム、即ち、同期アルゴリズム3’を成立させる仕組みを求める。

 

⑩主語系譜をシナリオ関数の解としてLYEE空間に浮かべる。

 

⑪3軸を記憶の時制今、過去、未来とする。

 

⑫3軸の要素と主語系譜の主語を同期的に成立させる仕組みを主語ごとに求める。

 

⑬LYEE空間に於いて、主語系譜を成立させるアルゴリズム(同期アルゴリズム3’)を成立させる仕組(シナリオ関数)を求める。

 

⑭同期アルゴリズム3’を完結させる為に3種の座標軸を回転させる仕組み(3種の座標関数、同期関数)を設ける。

 

⑮同期アルゴリズムの成立に至る時制上の臨界を調和する関数(T4,T2,T31,T32,T33)を設ける。

 

⑯同期アルゴリズムの完結を捉える関数(E41)を設ける。

 

⑰OS限界を引く関数(E42)を設ける。

 

⑱シナリオ関数を編集する。

 

シナリオ関数のソース構造が主語系譜の論決を基に最終的に誘導されたのは2008年の事である。次のシナリオ関数の定義式を参照。

 

 

 

 

 

S=Φ0(Φ4[{L4}、{W4}、E41、E42、T4]

  +Φ2[{L2}、{R2}、T2]

  +Φ3[{L3}、T31、T32、T33])