■シナリオ関数講義ノート(出典:根来文生博士)

第3章 シナリオ関数は新世紀のシステムの為のプログラム

 

従来プログラムは実行時に成立する非同期アルゴリズムで要件(認識)を捉えるのに対し、シナリオ関数では実行時に成立するアルゴリズムで、同期アルゴリズムで成立する主語系譜、即ち、要件の成立由来(意図)を捉える。換言すれば、シナリオ関数が成立させるアルゴリズムは同期アルゴリズムを模擬し、それは

 

①従来プログラムの要件を成立させる非同期アルゴリズムを内包し、且つ、

 

②これを阻害する事象が生じれば、その事象を自ら自律的に無力化する。

 

③同じ認識を捉える従来プログラムのソースは作成者が意を払っても、全ての作成者のソースが複写された様に完全に同じになるという事はないが、シナリオ関数のソースはLYEE理論に基づいて誤解なく作成されれば、だれが作成してもそのソースの全体は複写された様に同じになる。

 

改めて言えば、シナリオ関数はわれわれの認識を成立させている非同期アルゴリズムを同期アルゴリズムに変換するための仕組みである。そして、上記①②③は同期アルゴリズムの基本的な特徴である。

 

しかし、シナリオ関数の表層のソースの理解は従来プログラム(非同期)に馴れてきたわれわれの常識的な認識では困難なようである。特に、この傾向は客観性を持てず妙に特権的な仲間意識を持つこの道の専門家や経験者にはよく見られる傾向である。その人たちは創造性のない平凡な情報ブローカの様な人々であるが、意味不明な幅を利かす人々である。これはどの分野でもよくあることと聞く。勿論、全員がそうだというのではない。シナリオ関数の座学を受ければ、意識は変えられるはずなので、それを勧めたい。われわれの世界は非同期アルゴリズムの世界である。例えば、常識、科学、物理的認識、数学、論理学、法律、医学などの論理は全てがそうである。そして、この論理の習慣性はいくら改善されても、変えられるものではない。故に、シナリオ関数を作る場合には、その為の専用ツールを準備して、それでシナリオ関数を作る事を勧める。

 

シナリオ関数では同期アルゴリズムは主語系譜として模型化された。主語系譜は巷の様々なプログラムを分析した結果、求められたものであるが、本研究を振り返ると、主語系譜がプログラムのソース構造を根本から変える存在だったといえる。そして、シナリオ関数のソースをPCでエミュレーションすれば、上記①②③を目にすることが出来るだろう。

 

本研究によれば、従来プログラムにプログラム問題が発症する原因はわれわれの本能的な思考法が非同期アルゴリズムを成立させる故に、不可避的に曖昧さを生み出してしまうこと(限界主語数)である。シナリオ関数はこの問題を解法する為に同期アルゴリズムを成立させる仕組なのだが、シナリオ関数の前段で、その役割を務めるのがシナリオ関数の構成要素である主語ベクトル達の第3規約である。全主語ベクトルの第3規約の作用をエミュレータ上で確認し、その意味を理解すると同期アルゴリズムの光景が脳裏に浮かぶはずである。因みに、シナリオ関数の解である主語系譜をシナリオ関数のソースから導き出して可視化することが出来る。しかし、そのアルゴリズムAとシナリオ関数が実行時に主語系譜を成立させるアルゴリズムBは同じではない。更に、私は、従来プログラムの主語系譜を導くアルゴリズムCも導いた。

 

これらA,B,Cは互いに異なる。これらアルゴリズムの中で、A,Cは非同期アルゴリズムであるが、Bが同期アルゴリズムの様相を呈している様に思われる。演習問題として同期アルゴリズムなるものを感得する為にBを描くことを勧めたい。

 

主語ベクトルは要件に属す名詞の最小クラスのごとに定義される。主語ベクトルとは名詞の内容(主語)をその解とするプログラムである。構造論の立場でいえば、主語ベクトルの構造は1個の入り口と出口4個で構成される。

 

そして、7個の規約で成立する。下記のベクトルの構造を参照。 

主語ベクトルの全体は、1個の主語ベクトルは他の主語ベクトルの為に存在し、他の主語ベクトルは1個の主語ベクトルの為に存在する関係が成立する。因みに、シナリオ関数では侵入したウィルスを無力化するが、そして、その役割は主語ベクトルが担うのであるが、だからといって主語ベクトルにはこの為の何か特別な施策が講じられているわけではない。主語ベクトルはシナリオ関数に同期アルゴリズムを成立させる為の役割を果たす要素に過ぎない。シナリオ関数の構造は主語系譜を成立させるBから導出されている。A,Cはわれわれの立場でBを理解するための支えとなるのである。

 

この分野の専門の立場にいる人達のほとんどがシナリオ関数の構造やその実行時に成立するアルゴリズムが理解出来ないのは、伝統的な知見を基にする彼らの観点には同期という概念が映らないことが理解を妨げる原因の様に思われる。故に、彼らには発想の転換が必要である。アルゴリズムの次元で同期アルゴリズムの観点に立てる人は、これまでの私の経験では、学識のない私の様な素朴な人間か、あるいは学識を超越してものを見ることが出来る人だった。

 

シナリオ関数が使用する記憶領域は、全主語ベクトルで最小クラスにグリッド化される。1個の入り口と4個の出口で成立する主語ベクトルは複数の入り口と2個の出口で成る回路素子とは異なる。主語ベクトルの4種の出口の出口1では①主語が既に成立しているのでEXIT、②このベクトルは再起動を要望しないのでEXIT。出口2では①主語が成立したのでEXIT。出口3ではこのベクトルの再起動が必要なのでEXIT。出口4ではこのベクトルは再起動を要望しないのでEXIT。

 

シナリオ関数ではベクトルがひとつでも再起動を要望すればそのベクトルだけではなく、そのカテゴリに属す全ベクトルが一斉に再起動する。このカテゴリは3種で、それはパレット4,2,3と記される。

 

主語ベクトルのこの仕組は主語ベクトルが単に回路素子の様に2値判定に留まるのではなく、意味判定を行うプログラム素子であることを示唆する。即ち、単純な主語ベクトルの全体に成立する普遍的なアルゴリズムが、主語ベクトルが占める領域の内容を

 

①監視し、

 

②生成し、

 

③削除すること を可能にする。

 

のことが主語ベクトルの解である第4領域の内容(主語)達に同期アルゴリズムを成立させる。以上が同期アルゴリズムを成立させる仕組である。結果、主語達の系譜が成立する。シナリオ関数がこの仕組を体現する。換言すれば、シナリオ関数の構造はこの仕組みから求められている。因みに、主語ベクトルのソースの第3規約をみて下さい。そこで行われていることは主語の文脈の成否チェックである。文脈とは主語の成立に関わる定数を含む主語以外の主語の部分集合の事である。

 

因みに、シナリオ関数がなぜウィルスを無力化できるかが理解できれば、シナリオ関数の仕組みが理解出来たことになります。シナリオ関数を構成する座標関数、同期関数は主語系譜(同期アルゴリズム)を捉える為に、全ベクトル達の第4領域(主語)の可能的限界(臨界状態)を見極めながら全ベクトルを愚直に再起動させる役割を果たすプログラムです。可能的限界を見極めるとは主語達がどこまで成立させられるかを未来予測することを意味する。故に、ベクトルには第6フラグ、第7フラグが準備されている。ベクトルの主語が成立していなくても、成立の可能性があれば、そのベクトルは自分の第6フラグをオンとする。主語の成立の可能性がなければ、また既に主語が成立していれば第7フラグをオンにする。座標関数は全ベクトル達の第6フラグを見て、ひとつでもオンなら全ベクトルを再起動させる。この場合、ベクトルは自分の第7フラグがオンならその第1規約でEXITする。第6フラグがオンならその解である主語を成立させる為に第2規約に進む。同期関数は主語が成立する臨界状態を見極めながら座標関数を統治する。第6フラグ、第7フラグのオン、オフはベクトルの第5規約で判定される。第5規約では可能的成立の未来予測を主語成立数のスタックを用いて行う。これは主語を解とするベクトル故に成立する論理である。

 

以上述べていることは従来プログラムでは想像外のシナリオ関数の精密な仕組み故に成立する。故に、頭の中でこのことの概要を理解するだけでなく、シナリオ関数をエミュレートして、その動性を理解することを勧めます。

 

 

 

3.1 LYEE空間の構造模型

 

シナリオ関数を誘導するLYEE空間の構造模型を構成する要素を以下に記す。

 

①システムに属す名詞(含む定数)の群:G

 

②名詞の群の部分:G,i (含む定数、iは識別子)

 

③文脈:G,i

 

④LYEE空間の3種の時制座標:L4,L2,L3。4は今、2は過去、3は未来を意味する。

 

⑤時制座標軸の刻み:文脈

 

⑥主語ベクトルの種類:L4,L2,L3

 

⑦主語ベクトルの作用:名詞の正統な主語を成立させる為の叙述文

 

⑧主語:名詞の内容

 

⑨主語ベクトルの解:正統な主語

 

⑩主語ベクトルが置かれる位置:時制座標の文脈位置

 

⑪正当な主語の存在場所:LYEE空間

 

⑫シナリオ関数:正統な主語の脈絡(同期脈絡)を成立させる為の叙述文

 

⑬シナリオ関数の解:主語系譜

 

⑭主語系譜の存在場所:LYEE空間

 

 

 

3.2 シナリオ関数の定義式

 

シナリオ関数の定義式が意味するところは多義にわたるが、①開発要件として名詞が定義できれば、プログラムのソースが自動的に決まるという事を意味する。そして、②シナリオ関数に適した叙述言語を事前に決めておけば、そのソースは唯一的に決まる。

 

しかし、③シナリオ関数の動性のアルゴリズムはシナリオ関数しか果たせない同期アルゴリズムとなるが、その理解は論理結合型思考法では容易ではない。特に、この分野の経験豊かな技術者、あるいは研究者ならその理解はなおさら困難である。自分たちの発想を変えられないからである。このようにしたのは実は意図的だったのである。

 

1980年代、世界人口の殆どをプログラマやSEにしなければ電算機の普及は図れないとする見方があった。故に、プログラムの専門家達でなくても電算機システムを作れる様にするというアイデアである。このアイデアは悪くはない。しかし、①プログラムとは何か、②プログラム問題とは何か、③その解法の仕組みとは、といった基本的な概念整理が行われないままにこのアイデアが先走り今日に至っている。

 

プログラム問題を解法できない今日の世界規範がこのことを物語っている。この様な状況の中で育てられた専門家、研究者たちの行く末はプログラム問題を闇に押し込み電算機システムの利便性を喧伝する以外には立場がないのである。結果、彼らは人類という概念に対する裏切りに気づかず、利用者を巻き込み、この分野の業者と共に無知のままに、しかし、その代わりに既得権や無意味な権威に身を置き、それを変えることはしないのである。シナリオ関数はこの問題に対する回答だったのである。

 

もし、貴方が、シナリオ関数の動的な仕組みをきちんと理解したいのであれば、シナリオ関数のソースを提供するので、それを正確に読み、あるいは自分でエミュレートして、自分で理解することである。私はシナリオ関数の創立者として、シナリオ関数の今日を有らしめる為にシナリオ関数の理解に努められてきたわずかな人々に替わり、貴方もこの確認のための努力をしなければ、貴方はシナリオ関数を解説したり、評論したりする立場にはいない人だと申し上げておきます。

 

 

 

3.3 ベクトルの種別

 

シナリオ関数を構成するベクトル達はそれぞれ自分の第4領域の内容を解とするプログラムである。ベクトルのソースは7個の規約で定義され、その7個の規約はベクトルを識別するための唯一の指標とベクトルの時制が決まれば、自律的に決まる。時制とはシナリオ関数が成立する為のLYEE空間を規定する3種の座標軸のことである。今(L4)、過去(L2)、未来(L3)として定義される。

 

ベクトルの種類は12種である。内訳は、主語ベクトルとしてL4、L2、L3、R2、W4の5種、制御ベクトルとしてT2、T31、T32、T33の5種、そして、特殊ベクトルとしてE41、E42の2種がある。ここでは、指標は省略されている。

 

数字の4、2、3はそのベクトルが成立する時制である。4は今、2は過去、そして、3は未来である。

 

シナリオ関数の定義式を参照してベクトルの在り方を確認すること。そして、ベクトルを正確に認識する為にベクトル達のソースを見ること。そして、エミュレートすること。

 

これらの事はこれまでのプログラムの在り方を払しょくして、シナリオ関数のあり方を正しく知る為の演習となる。

 

 

 

3.3.1 主語ベクトル

 

主語ベクトルは要件のアルゴリズム6の同期アルゴリズムを主語系譜として模型的に捉える為のシナリオ関数の構成要素である。

 

主語ベクトルは要件のアルゴリズム6の最小クラスと時制で定義される。要件の最小クラスのアルゴリズムは名詞を指標として捉えられる。

 

主語は主語ベクトルの解としてその第4領域で捉えられる。

 

シナリオ関数が捉える同期アルゴリズムの模型は主語系譜と呼ばれる。主語系譜は主語に関する二つの脈絡で成立する。二つの脈絡は本研究により、調和脈絡超言語脈絡と呼ばれる。(1.2参照。)主語ベクトルの第3規約では主語の正統性判定が行われる。主語の正統性とは主語が始祖の脈絡上に存在することを意味する。主語ベクトルの第3規約では主語の文脈に関わる主語の成否判定(文脈チェック)が行われる。主語の文脈が成立すれば、これにより、主語の正統性が捉えられる。正統な主語が捉えられれば、その主語はベクトルの第4領域に収められる。正統な主語が成立していなければ、そのベクトルは再起動の為に第5規約に移る。故に、主語ベクトルは、1個の主語ベクトルは他の主語ベクトルの為に、他の主語ベクトルは1個の主語ベクトルの為に存在するので、この関係に於いて、第3規約では主語のデータ結合が行われる。これは主語ベクトルの特徴である。因みにシナリオ関数では主語ベクトルの第3規約の内容から主語系譜を求めることが出来る。データ処理のアルゴリズムはシナリオ関数では主語ベクトルが担い、そのカバー範囲は1実行命令分に帰着する。複数の主語ベクトルのソースを比較して、構造の普遍性を確認して下さい。

 

 

 

3.3.2 制御ベクトル

 

シナリオ関数には3種の座標関数が座標関数4,2,3と識別されて属する。座標関数の実行順番は4,2,3と決まっているが、その実行時宜を決めるのが制御ベクトルの役割である。

 

T4は実行制御が座標関数4から座標関数2に切り替える情報を管理する。

T2は実行制御が座標関数2から座標関数3に切り替える情報を管理する。

T31は実行制御が座標関数3から同じシナリオ関数の座標関数4に切り替える情報を管理する。

T32は実行制御が座標関数3から下位のシナリオ関数の座標関数4に切り替える情報を管理する。下位のシナリオ関数が存在しなければこの制御ベクトルは存在しない。

T33は実行制御が座標関数3から最上位のシナリオ関数の座標関数3に切り替える情報を管理する。上位のシナリオ関数が存在しなければこの制御ベクトルは存在しない。

シナリオ関数が複数個でなるシステムの構造はランク構造と呼ばれている。

 

 

 

3.3.3 E41ベクトル

 

シナリオ関数は同期アルゴリズム(主語系譜)を導き出すためのプログラムであるという事は既に述べている。同期アルゴリズムが成立すれば、このベクトルの第4領域がオンとなる。同期アルゴリズムが成立しない間はこのベクトルの第4領域はオフである。このオンにより、同期関数はSEP(Soft-Ending-program)を起動する。オフならSEPは起動されずにシナリオ関数は実行を継続する。SEPはシナリオ関数を正常に終了させる為のプログラムである。

 

同期アルゴリズムが成立することと、例えば業務処理が終了することとは同じではない。即ち、業務処理は同期アルゴリズムに内包される関係にあるので、同期アルゴリズムが成立する前に成立する関係にある。故に、シナリオ関数が成立させるアルゴリズムは従来プログラムが成立させる完全なアルゴリズムの約1.4倍の規模になる。シナリオ関数はこの1.4倍の関係に於いて、実行時に発症するプログラム問題を自律的に解法するのである。故に、プログラム問題が発生しなければ、シナリオ関数が成立させるデータ処理のアルゴリズムの規模は従来プログラムのデータ処理のアルゴリズムの規模よりも小さくなる。

 

シナリオ関数について以下のような懸念を上げる人たちがいる。即ち、シナリオ関数のソースの規模は従来プログラムに較べて大きくなるので、記憶容量が大きいので、従来プログラムよりもデータ処理時間が長くなる筈だと考えてしまう。ここではシナリオ関数の動性の仕組みを理解すれば、それは邪推に過ぎないことに気づく日がくるとだけ述べておく。

 

 

 

3.3.4 E42ベクトル

 

このベクトルはOSが捉えるシステムの異常事態をその第4領域のオン、オフで受け継ぐ。座標関数はこのベクトルの第4領域がオンなら、SLP(Soft-Landing-Program)を起動する。SLPはシナリオ関数ごとに作成されるプログラムで、シナリオ関数の再立ち上げに必要な情報を確保して、シナリオ関数を再立ち上げさせる役割を果たす為のプログラムである。その第4領域がオフならシステムには異常事態は起きていないので、シナリオ関数は実行を継続する。座標関数を参照。

 

 

 

3.4 座標関数

 

シナリオ関数の事例の座標関数を参照、7章参照

 

 

 

3.5 同期関数

 

シナリオ関数の事例の座標関数を参照、7章参照

 

 

 

3.6 主語スタック生成プログラム

 

シナリオ関数の事例を参照